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日本法規

SDSに書かれた「許容濃度」とは?日本産業衛生学会・ACGIHの基準をやさしく解説

2025.12.03

SDSに書かれた「許容濃度」とは?日本産業衛生学会・ACGIHの基準をやさしく解説

化学物質を扱う現場でSDS(安全データシート)を見ると、「許容濃度:○○ ppm(日本産業衛生学会)」などの記載がよく見られます。

しかし、この許容濃度(Permissible Exposure Limit)が具体的にどのような値なのか、どう安全管理に役立つのか理解しづらいという声も少なくありません。

そこでこの記事では、日本産業衛生学会(JSOH)とACGIHの基準をやさしく整理し、SDSでの読み方を初心者でも分かるように解説します。


許容濃度とは

許容濃度とは、

「1日8時間、週40時間程度働いた場合、平均濃度がこの値を下回れば、ほとんどの労働者に健康障害が起こらないと判断される濃度」

のことです。

ポイントは次のとおりです。

  • 健康リスクを低く保つための「目安」値
  • 「絶対安全」ではない(個人差・作業条件により影響は変動)

この値を参考に、作業環境測定やばく露防止対策に役立てていきます。


日本産業衛生学会(JSOH)の基準

日本では、日本産業衛生学会(JSOH)が毎年、化学物質の許容濃度を勧告しています。SDSの法令情報や作業環境測定で広く利用されています。

代表的な基準は次の2つです。

  • 許容濃度(OEL-TWA)
    1日8時間、週40時間の時間加重平均値としての目安
  • 最大許容濃度(OEL-C)
    どの瞬間でもこの値を超えてはならない上限値

いずれも法的義務ではありませんが、実務上は安全管理の基準として広く活用されています。


ACGIHの「TLV」:世界標準の健康基準

アメリカのACGIHが毎年公表するTLV(Threshold Limit Value)は、国際的に広く使われている健康リスク指標です。

TLVは次の3種類です。

種類 内容 JSOH基準との対応
TLV-TWA 1日8時間の平均濃度 許容濃度(OEL-TWA)とほぼ同じ
TLV-STEL 15分間以内の短時間限界 短時間曝露限界に相当
TLV-C 瞬間的にも超えてはならない濃度 最大許容濃度(OEL-C)に近い

TLVは法的強制力はないものの、世界中のSDSで参照される代表的な基準です。


SDSに記載されている許容濃度の見方

SDSの「8. ばく露防止及び保護措置」欄には、次のような記述がよく見られます。

  • 許容濃度:50 ppm(日本産業衛生学会)
  • TLV-TWA:25 ppm(ACGIH 2024)

ここで確認すべきポイント

  • 基準を示した機関(日本産業衛生学会/ACGIHなど)
  • 時間条件:TWA(8時間)、STEL(15分)、C(瞬間値)
  • 単位:「ppm」と「mg/m³」の違い
  • 数値はあくまで健康リスクを低減するための“目安”

これらを理解することで、SDSから得られる情報をより正確に安全管理へ活用できます。


まとめ

「許容濃度」は、化学物質による健康リスクを管理するための欠かせない基準です。

  • 日本では日本産業衛生学会(JSOH)
  • 世界ではACGIHのTLV

が代表的な基準として用いられています。

SDSを読むときは、

  • どの機関の基準値か
  • 時間条件はどうか
  • 単位は正しいか

を意識することで、より安全な作業環境づくりに役立ちます。


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