【SDS作成ガイド】SDS 第9項「物理的及び化学的性質」の注意点
2026.04.24
【SDS作成ガイド】SDS 第9項「物理的及び化学的性質」の注意点
SDS(安全データシート)第9項「物理的および化学的性質」は、化学物質の適切な取り扱いやリスク評価のために欠かせない重要項目です。
特に、JIS Z 7253に従い、記載必須項目が多く設けられている項でもあります。
1. SDS 第9項は記載必須項目を埋めることが基本
SDS 第9項には、外観、臭い、pH、引火点、蒸気圧、溶解度など、多数の項目が列挙されています。
これらの多くは、記載すべき項目として JIS で規定されております。
また、情報がない場合はその旨を記載すると規定されている項目もあり、情報を細かく記載することが求められる項でもあります。
2. 情報がない場合は必ず理由を記載する(JIS準拠)
JISでは、原則として 「情報がない項目」には理由を記載すること が求められます。
そのため、以下のような説明を必ず入れる必要があります。
- 「データなし」
- 「知見が乏しく記載できない」
- 「固体のため沸点は適用不可」
3. 「データなし」と「知見なし」の違い
ただし、実際に情報を記載する際、「データなし」と「知見なし」をどう使い分けるか、迷われる方も多いと思います。
JISでは用語定義が明記されていませんが、一般的なSDS作成の実務では次のようなイメージで区別すると良いかもしれません。
3-1. データなし(No data available)
■ 意味(実務上)
- 測定データ・文献値が 存在しない/確認できない
- データ自体は将来的に得られる可能性がある
- 調査の範囲では見つからないが、性質は存在する
■ 例
- 引火点を測定していない製品
- 文献調査で該当値が確認できない
- 測定すれば値は得られるが試験されていない
3-2. 知見なし(No known information)
■ 意味(実務上)
- 当該性質について 一般的な科学的知見が存在しない
- 文献・研究例がほとんどなく、業界に共通理解がない
■ 例
- 新規・特殊物質で蒸気密度の研究例がない
- 理論的にも扱われることが少ない性質
3-3. 比較表)
| 表現 | 意味の違い | 典型的な使用例 |
|---|---|---|
| データなし | 測定値や文献値が得られない | 引火点・沸点など、測定可能だが未測定 |
| 知見なし | 科学的知識そのものが存在しない | 特殊物質の特異な性質 |
| 適用不可 | 性質が存在しない | 固体の沸点、非揮発性物質の蒸気圧など |
「データなし」と「知見なし」をどう使い分けるか、どの項目にどのように記載するかは、SDSを供給する企業ごとの判断になります。
4. JIS整合性のためのチェックポイント
第9項の値は、SDS内の他の項目と矛盾がないように構成する必要があります。
- 第2項(危険有害性)
- 第5項(火災時の措置)
- 第11項(有害性情報)
- 第14項(輸送情報)
例:「引火点なし」と記載しているのに「引火性液体」に分類されている など
5. まとめ:SDS第9項は、JISの内容に従い、理由を明示して記載
- JISの規定に従い、記載必須項目に情報を記載する
- 情報がない場合は、その旨を必ず記載する
- 「データなし」と「知見なし」は意味が異なる
- 他項目との整合性チェックがSDSの品質を大きく左右
🌿 SDS作成は安全と信頼の第一歩
SDSは化学物質管理の中核であり、法令遵守と安全対策の両立に欠かせません。正確なSDSの作成・更新が、事業運営の信頼性を高めます。
📩 SDS担当者のための無料メール講座
SDS作成に関わる担当者の方向けに、実務に役立つ情報をメールでお届けしています。
- GHS・JIS改正のポイント解説
- SDS作成で迷いやすい判断ポイント
- 実務で役立つ作成ノウハウ
SDS業務に関する最新情報を受け取りたい方は、ぜひご登録ください。
参考文献・関連リンク