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SDS作成ガイド

【SDS作成ガイド】SDS 第3項「組成および成分情報」を正しく理解するための完全ガイド

2026.04.01

【SDS作成ガイド】SDS 第3項「組成および成分情報」を正しく理解するための完全ガイド


SDS(Safety Data Sheet/安全データシート)の第3項「組成および成分情報」は、化学化学品の危険性評価・法規制判断・リスクアセスメントの基礎となる重要セクションです。


■ SDS第3項とは?

SDSの第3項には、化学品の組成に関する基礎情報が示されています。具体的には次の内容が含まれます。

  • 化学物質か混合物かの別
  • 成分の化学名
  • 濃度または濃度範囲
  • CAS番号
  • GHS分類に影響する有害成分

第2項の「危険有害性の要約」の“根拠”となる情報がここに集約されています。


■ 注意点①:化学物質か混合物かでSDSの読み方は大きく変わる

● 化学物質(単一成分)の場合

  • 基本的に1つの成分のみ
  • CAS番号も固定

● 混合物の場合

  • 複数の成分を濃度とともに記載
  • ただし「危険成分」のみを記載されるケースも多い
  • 非危険成分は記載されないこともある

混合物のSDSでは、記載されていない=含まれていない ではないことに注意が必要です。


■ 注意点②:濃度が「幅」で表示されることが多い

SDSによくある表記:

成分A:1〜5%
成分B:0.1〜1%

これは

  • 企業秘密(秘匿)の保護
  • 製造ロットによる変動

などが理由です。

しかし、幅表示に関するルールが設けられている法規もあります。
対象となる成分がどのような法規に該当しているのかを把握することが必須です。


■ 注意点③:CAS番号は“化学物質の厳密な識別”のための情報

CAS番号は世界共通の化学物質の識別番号であり、危険性・毒性・法規制の検索に不可欠です。

しかし、以下の問題が起きることがあります。

  • 異性体やグレード違いでCAS番号が複数ある
  • 新規化学品にはCAS番号が存在しない
  • 誤ったCAS番号が記載されたSDSも実際に存在する

CAS 番号についての解説はこちら


■ 注意点④:秘匿成分(Confidential)は安全性と透明性のギャップを生む

SDSには「企業秘密」として以下が非公開になる場合があります。

  • 成分名
  • CAS番号
  • 濃度

例:

成分名:非公開(Confidential)
濃度:1–5%
CAS:Confidential、―(ハイフン) など

このような情報の場合、SDSを入手した現場では以下の問題が発生しやすくなります。

  • 根拠が不明で危険性評価が困難
  • 顧客からの質問に回答できない

■ 注意点⑤:海外(英文)SDSで成分未開示の場合、日本語SDSも“不完全”になる

輸入化学品において最も大きな問題がコレです。

成分の秘匿により、輸入した製品の英文SDSにおいて、以下が非開示の場合が多く見られます。

  • 成分名が“Proprietary”
  • CAS番号が“Confidential”
  • 含有量が幅だけの記載
  • 危険成分が抽象的に示されているだけ

▼英文SDSの例

Ingredient A: Proprietary component
CAS: Confidential
Concentration: 1–5%

▼日本語SDSでそのまま記載した場合

成分名:非公開成分(企業秘密)
CAS番号:非公開
含有量:1〜5%

これにより、日本語SDSを作成する場合に、次のような弊害が生じます。


■ 弊害①:危険有害性の根拠が不明になる

第2項「危険有害性区分」は示されていても、
どの成分がその危険性をもたらしているのか分からない状態になります。

たとえば:

  • 発がん性区分1
  • 生殖毒性区分2

これらが「成分Aによるのか、Bによるのか」判断できないため、リスク管理が困難になります。


■ 弊害②:法規制の判定ができない

次の規制判断が不可能になります:

  • PRTR法
  • 労安法(表示対象物質/通知対象物質)
  • 毒劇法

成分が非公開だと、対象であるか否かを輸入者が確認できず、コンプライアンスが不完全になるリスクがあります。


■ 弊害③:顧客からの問い合わせに答えられない

実際に多い質問:

  • 特定化学品は入っていますか?
  • 成分情報の詳細を教えてほしい

英文SDSが秘匿している限り、国内の輸入者も回答できません。


■ 弊害④:輸入者が“すべての説明責任”を負う

日本では

SDS提供の義務者=輸入者

です。

海外メーカーが秘匿していても、誤記載・不足情報によるリスクは輸入者が負うことになります。

これらのように、海外SDSで成分情報が非開示のままだと、日本語SDSの作成・提供において 輸入者側に複合的なリスクや実務上の支障が発生します。

そのため、非開示成分に起因するリスクを最小化するためには、輸入者として適切な対策を講じることが不可欠です。
以下に、実務で実施すべき具体的な対策をまとめてみました。


■ 対策①:海外メーカーに成分・CAS番号・GHS分類根拠の開示を求める

最も重要な対策は、海外メーカーに追加情報の提供を正式に依頼することです。

要求すべき情報:

  • すべての成分の成分名とCAS番号
  • 含有量の実数(または範囲の理由)
  • GHS分類の根拠(各成分の危険有害性情報、分類計算書など)

■ 対策②:日本の法規制に基づき“必要最低限の成分情報”を追加記載する

海外SDSは日本の規制にそのまま適合しないため、輸入者は次を補完します。

  • PRTR対象物質
  • 安衛法の表示対象物質・通知対象物質
  • 毒劇法対象物質

海外SDSに記載されていない場合でも、輸入者が独自に日本の法規制を照合し補完する義務があります。

特に、CAS番号が判明している場合は、NITE-CHRIPなどで検索することで対象物質が法規制に該当しているかどうかを確認することが可能です。


■ 対策③:GHS分類を“輸入者側で再計算”する

成分濃度が推定できる、または一部情報が判明している場合は、輸入者側でGHS分類を再評価する方法もあります。

事故や責任リスクを避けるためには、重要な作業です。


■ まとめ:英文SDSに成分の非開示がある場合、日本語SDSの重大なリスクとなる

SDS第3項は、化学品の危険性・法規制判断の“基盤”となる情報です。

しかし、英文SDSで成分が非開示の場合、日本語SDSも不完全になり、次の問題が発生します。

  • 危険有害性の不足、または根拠不明
  • 法規制の判断ができない
  • リスクアセスメントの精度低下
  • 顧客対応できない
  • 輸入者が責任を負うことになる

輸入者は可能な限り、海外メーカーへ成分情報の追加提供を求め、SDSの完全性を確保することが重要です。

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