日本法規
安衛法における営業上の秘密に該当する成分の取り扱い
2025.06.05
- 営業上の秘密に該当する成分情報の取扱い
SDSに記載する成分やその含有量が営業上の秘密に該当する場合、以下の対応が認められています。
- SDSへの明記: 該当する成分が営業上の秘密である旨をSDSに明記する必要があります。
- 成分名および含有量の省略: 営業上の秘密に該当する成分名およびその含有量の記載を省略できます。
- 別途の情報提供: 秘密保持契約など、事業者間で合意した方法により、
SDSとは別途、必要な情報を提供することが可能です。
ただし、以下の物質については、営業上の秘密であっても成分名および含有量の記載を省略できません。
- 労働安全衛生法施行令第17条の製造許可物質
- 有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則の対象物質
- 厚生労働大臣がばく露の濃度基準を定める物質
- 含有量の通知方法
営業上の秘密に該当する成分の含有量については、以下の方法で通知することが認められています。
- 濃度範囲での表示
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- SDS にはその旨を記載のうえ、「10–20%」などの幅を持たせた濃度範囲での表示が可能です。
- なお、「10-20%」などの10パーセント刻みの記載方法は、
省令で規定している「10パーセント未満の端数を切り捨てた数値と当該端数を切り上げた数値との範囲」を指します。 - この規定は法令上の最低基準であるため、10パーセント刻みより狭い幅の濃度範囲を通知することは可能です。
- 重量パーセント以外の表記
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- 重量パーセント以外の表記を用いる場合、その換算方法を明記することで、重量パーセントによる表記と見なされます。
ただし、含有量によって法令の適用の有無が変わる場合は、正確な重量パーセントでの通知が求められます。
- 緊急時および行政機関への情報開示
営業上の秘密に該当する成分情報であっても、以下の状況では開示が求められます。
- 緊急時の医療対応: 化学物質へのばく露による緊急事態において、
医療関係者に対して治療に必要な特定の秘密情報を開示する手段を確保する必要があります。 - 行政機関への開示: 所管官庁からの要請があった場合、営業秘密情報を開示する義務があります。
- その他の留意点
- SDSの記載内容の更新: 法令の改正や新たな情報の入手により、
SDSの記載内容に変更が生じた場合は、速やかに更新を行う必要があります。 - 秘密保持契約の締結: 営業上の秘密情報を提供する際は、秘密保持契約を締結するなど、
適切な秘密の保全措置を講じることが求められます。
※安衛法改正に関する情報はこちら
※SDS(MSDS)のサンプル(見本)はこちら
参考文献
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11237.html
https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/content/contents/001484509.pdf
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/001165627.pdf