日本法規
毒劇法(毒物及び劇物取締法)の概要
2025.06.05
- 法の目的
毒劇法(毒物及び劇物取締法)は、日常で流通する有用な化学物質の中で、
急性毒性によって健康被害を引き起こす可能性が高い物質を毒物または劇物に指定し、
保健衛生上の観点から必要な規制を行うことを目的としています。
- 規制内容
- 登録制度
毒物や劇物を取り扱う業者(製造、輸入、販売または授与)には登録が必要です。
これは、不適切な流通や漏洩を防ぐための基本的な枠組みです。
- 容器等への表示
毒物や劇物に該当する場合、容器や被包には適切な表示が求められます。
具体的には、以下のような要件があります。- 物質名表示
- 化学的純品(例:キシレン100%)のみが対象
- 含有製剤の場合、濃度や除外要件が定められている
- 例)水酸化ナトリウムを含有する製剤は5%以下であれば対象外
- 物質名表示
- 情報提供の義務
- SDS(安全データシート)の提供
- 製造業者、輸入業者、販売業者は、毒物や劇物の使用者に対してSDSの提供が義務付けられています。
ただし、以下の場合はSDS提供の義務は免除されます。- 一回につき200mg以下の劇物の販売または授与
- 一般消費者向けに販売される物質(生活用に供されるもの)
- 製造業者、輸入業者、販売業者は、毒物や劇物の使用者に対してSDSの提供が義務付けられています。
- SDS(安全データシート)の提供
- 販売及び授与の規制
- 毒物および劇物を販売または授与する際には、適切な手続きが必要です。
- 一部の劇物は、一般消費者に対しては販売できない場合があります。
- 運搬・廃棄時の基準
- 毒物や劇物の運搬や廃棄時にも特別な基準が設定されており、安全管理が求められます。
- 盗難・紛失・漏洩対策
- 盗難や紛失、漏洩が発生しないように、適切な管理対策が義務付けられています。
- 毒物・劇物の定義と分類
- 毒物
- 毒劇法別表第1および毒物及び劇物指定令第1条に記載されている物質。
- 例:キシレン(100%純品のみ対象)
- 劇物
- 毒劇法別表第2および指定令第2条に記載されている物質。
- 例:水酸化ナトリウムを含有する製剤(ただし5%以下は対象外)
- 除外規定
- 一部の製剤は、特定の条件下で毒物や劇物の対象外とされます。
- 例)鉛化合物の中でも、四酸化三鉛、ヒドロオキシ炭酸鉛、硫酸鉛は除外される場合があります。
※SDS(MSDS)のサンプル(見本)はこちら
参考文献
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/131003-01-all.pdf