安衛法に基づくラベル表示・SDS交付制度の対象物質|SDS作成と義務範囲のポイント
2025.06.05
安衛法に基づくラベル表示・SDS交付制度の対象物質|SDS作成と義務範囲のポイント
労働安全衛生法(安衛法)は、化学物質を取り扱う全ての事業者に対し、ラベル表示およびSDS(安全データシート)交付を義務付けています。
これらの制度は、労働者の健康障害や事故を未然に防ぐために設けられたものであり、企業の安全管理体制に直結する重要な要素です。
本記事では、ラベル表示・SDS交付の対象物質、努力義務の範囲、適用除外製品などをわかりやすく解説します。
義務対象物質
安衛法に基づくラベル表示およびSDS交付制度の対象は、以下の3つのカテゴリーに分類されます。
これらはいずれも事業者にSDS作成・提供義務がある化学物質です。
(1) 製造許可物質
労働安全衛生法施行令別表第3第1号に規定される特定物質が該当します。
これらは高い危険性・有害性を有し、製造そのものが許可制となっているため、取扱い時にはSDSの作成と厳格な情報管理が求められます。
(2) 表示・通知義務対象物質
労働安全衛生規則(則)別表第2に定められた物質が対象です。
これらの化学物質は、毒性・引火性・爆発性などの危険有害性を持ち、ラベル表示およびSDS交付が法的に義務付けられています。
事業者は、危険性・有害性に応じて適切なGHS分類を行い、SDSを通じて労働者や取引先に情報を伝達する責任を負います。
(3) 混合物
上記の義務対象物質を含む混合物も対象となります。
ただし、成分の含有量が「裾切値(カットオフ値)」を超える場合に限り、ラベル表示やSDS交付が義務化されます。
裾切値は物質ごとに異なり、化学物質の特性や暴露リスクに応じて設定されています。
SDS作成時には、混合物中の含有量・危険区分・相互作用を正確に反映することが重要です。
努力義務対象物質
法的な義務対象ではないものの、労働安全衛生規則第24条の14および第24条の15に基づき、自主的なSDS作成・提供が推奨される物質があります。
- 表示・通知義務の対象外であっても、危険有害性を有する化学物質および混合物
- JIS Z 7252に基づく物理化学的危険性・健康有害性などを持つ物質
これらの物質についてもSDSを自主的に整備・交付することで、社内安全管理の向上と取引先からの信頼性確保に寄与します。
適用除外物
以下の製品は、安衛法上のラベル表示およびSDS交付義務の適用除外とされています。
ただし、作業環境や取り扱い実態によっては、例外的にSDS作成が求められる場合もあります。
- 医薬品・医薬部外品・化粧品(医薬品医療機器等法による)
- 農薬(農薬取締法による)
- 粉状・粒状にならない固体製品
- 密封状態で取り扱われる製品(例:電池、カートリッジなど)
- 一般消費者に提供される段階の食品(※労働者ばく露の恐れがある場合を除く)
- 家庭用品品質表示法に基づく表示がなされている製品
- 一般消費者が家庭で私的に使用する製品(例:家庭用洗剤など)
これらに該当する製品であっても、社内の化学物質管理体制を整備し、自主的にSDSを整えることが推奨されます。
近年の安衛法改正により、GHS分類やSDS交付義務の対象範囲が拡大されています。
特に2023年以降、段階的に新たな物質が義務対象へ追加されており、最新の厚生労働省告示やJIS改訂動向を確認することが重要です。
企業は、最新法令のフォローアップ体制を整え、法改正に合わせてSDSやラベル内容を更新することが求められます。
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