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安衛法におけるSDSの成分含有量表示方法|SDS作成時の注意点と裾切値の判断基準

2025.06.05

安衛法におけるSDSの成分含有量表示方法|SDS作成時の注意点と裾切値の判断基準

労働安全衛生法(安衛法)におけるSDS(安全データシート)作成では、成分の含有量を正確かつ法令に適合した方法で記載することが求められます。
とくに、営業上の秘密や裾切値(カットオフ値)に関連する判断では、単なる形式的な記載ではなく、安全性と法的根拠の両立が重要となります。この記事では、SDSにおける含有量表示の基本原則、範囲表示の可否、裾切値の考え方、そして作成時の留意点について詳しく解説します。


含有量の表示方法

基本的な表示方法

SDSでは、混合物中の各成分の含有量を重量パーセント(wt%)で記載することが原則です。
SDS作成時には、各成分の配合割合を正確に把握し、その数値が法令上の基準やリスク評価に適切に対応しているかを確認する必要があります。
含有量の表示は、危険有害性の分類やGHS表示義務の根拠となるため、法的整合性の確保が重要です。

含有量の幅を持たせた表示

営業上の秘密を保護する目的で、成分の含有量を「10〜20%」のように範囲(レンジ)で示す方法も認められています。
ただし、この方法には以下のような留意点があります。

  • 範囲表示は秘密保持に有効であるが、法令適用可否が変わる場合(例:裾切値判定)には正確値を記載する。
  • 範囲の幅は合理的である必要があり、不当に広いレンジは避ける。
  • 「10〜20%」などの10%刻み表示が原則であるが、技術的根拠があればより狭い範囲も可。

したがって、SDS作成者は「情報保護」と「法的正確性」のバランスを意識する必要があります。

裾切値(カットオフ値)の考え方と判断基準

裾切値(カットオフ値)とは、混合物中に含まれる有害化学物質の含有量が一定値(重量%)を超えた場合に、ラベル表示およびSDS交付が義務化される基準値を指します。

  • 裾切値を下回る場合、法令上はSDS記載義務が免除されることもあります。
  • ただし、リスク管理や取引先との信頼性維持の観点から、自主的なSDS作成が推奨されます。
  • 物質によっては0.1%、1%、3%など異なる基準が適用されるため、最新のGHS分類と法令を照合することが必要です。

特に安衛法化管法毒劇法など複数法規が関係する場合、裾切値の基準が異なるため、SDSの根拠法を明確にして作成することが重要です。

複数物質を包括した名称の場合の判断

「Aおよびその化合物」「Aおよびその塩類」といった包括名称で指定された物質群については、該当する物質すべての含有量を合算し、その合計値が裾切値を超えるかどうかで判断します。
たとえば「クロムおよびその化合物」が指定されている場合、クロム酸塩・クロム酸ナトリウム・三価クロムなどを合計して裾切値と比較します。
SDSにはこの判断基準や合算根拠を明示することで、透明性と正確性を確保できます。

SDS作成における実務上の留意点

  • 正確な成分情報の把握:分析値や配合比率を定期的に確認し、最新データを反映する。
  • SDS更新時の見直し:法改正(例:GHS分類改訂)や基準変更に合わせて表示内容を更新する。
  • 秘密保持と法令遵守の両立:範囲表示や秘匿化を行う場合でも、裾切値基準や危険有害性情報は必ず明示する。

これらを徹底することで、企業はSDS作成の透明性と信頼性を高めることができます。

2023年以降の安衛法改正では、GHS分類に基づく表示義務の拡大とSDS提供範囲の拡充が進められています。特にSDSへの含有量表記方法や裾切値適用基準が見直されているため、厚生労働省の最新ガイドラインの確認が推奨されます。


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