日本法規
労働安全衛生法(安衛法)の体系構造
2025.07.22
- 法律(基本法)
- 労働安全衛生法(安衛法)
元々は労働基準法の一部として制定され、後に独立した法律。
労働者の安全と健康の確保、および快適な職場環境の形成を目的とする。
- 政令
- 労働安全衛生法施行令
法律を具体的に実施するための政令。
安衛法に基づく大枠の実施体制や対象範囲などを定める。
- 省令
- 労働安全衛生規則(通称:安衛則)
厚生労働省が定める詳細なルールで、広範な事業場に共通の安全衛生措置を規定。
- 特別規則(化学物質関連)
以下のような、特定の有害物質に対して個別に設けられた規則がある。
- 有機溶剤中毒予防規則
- 特定化学物質障害予防規則
- 鉛中毒予防規則
- 四アルキル鉛中毒予防規則
- 石綿障害予防規則
これらは、特定の化学物質または物質群に対する特別な予防措置を規定しており、
一般的な安衛則より特別規則が優先適用されます。
※ ただし、特別規則に定めのない項目については、安衛則の規定が適用されます。
5 運用上のポイント
- 化学物質管理や有害業務については、リスクアセスメントの実施が事業者に義務付けられています。
- 法体系の中で、特に法改正が頻繁に行われているのは、省令(安衛則)や特別規則です。
- 最新の技術的知見や国際基準に応じて、省令レベルで柔軟に対応する構造となっています。
まとめ
労働安全衛生法の体系は、以下のように多層的に整理されます。
- 法律(労働安全衛生法)
→基本原則と枠組み - 政令(施行令)
→実施に必要な政令レベルの基準 - 省令(安衛則)
→各職場で必要な詳細措置 - 特別規則
→特定物質・業務に関する厳格な措置
このような体系により、日本の職場では安全で健康な労働環境の維持が法的に支えられています。
参考文献