日本法規
「がん原性物質」と「がん原性指針対象物質」の違い
2025.07.22
■定義・法的根拠の違い
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法規 |
労働安全衛生規則 第577条の2第3項 |
労働安全衛生法 第28条第3項(指針) |
定義 |
厚生労働大臣が「がん原性がある物」として定めたもの |
がん原性の可能性が否定できない物質に対して、 |
■指定基準・対象物質の違い
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指定基準 |
リスクアセスメント義務対象で、国の有害性分類において |
動物実験で発がん性が確認され、 |
対象例 |
メルファラン、アントラセン、メタクリル酸2,3-エポキシプロピル など |
アクリル酸メチル、スチレン、トリクロロエチレンなど |
■企業に求められる対応の違い
- 作業記録の保存義務:該当物質を製造または取り扱う労働者の作業履歴を30年間保存することが義務。
- 対象は法令に基づく「告示」指定物質。
がん原性指針対象物質(予防指針)
- 予防的措置の実施
- 作業環境管理(排気装置・密閉化など)
- 作業管理(保護具の使用・作業位置など)
- 環境測定(6か月に1回の空気中濃度測定)
- 衛生教育(4.5時間以上)
- 労働者の健康記録・保管(30年)
■結論
- がん原性物質は、リスクアセスメント義務や記録管理が求められる。
- 一方、がん原性指針対象物質は、予防的・包括的対策を講じるためのガイドラインに基づくもの。