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「がん原性物質」と「がん原性指針対象物質」の違い(SDS対応視点)

2025.07.22

「がん原性物質」と「がん原性指針対象物質」の違い(SDS対応視点)

労働安全衛生法における化学物質管理の中でも、特に注目すべきが「がん原性物質」「がん原性指針対象物質」の区別です。
両者は共に発がんリスクを有する化学物質ですが、法的根拠・管理義務・SDS(安全データシート)への記載内容に明確な違いがあります。
この記事では、SDS作成やリスクアセスメントに必要な観点から、両者の違いをわかりやすく整理します。


定義・法的根拠の違い(SDS記載項目との関連)

区分 がん原性物質 がん原性指針対象物質
法規 労働安全衛生規則 第577条の2第3項 労働安全衛生法 第28条第3項(がん原性指針)
定義 厚生労働大臣が「がん原性がある物」として定めたもの。
SDSではGHS分類「発がん性区分1A・1B」として明記が必要。
がん原性の可能性が否定できない化学物質。
SDSでは「発がん性の可能性あり」として注意喚起情報を記載。

指定基準・対象物質の違い(SDSにおける表示・記載)

項目 がん原性物質 がん原性指針対象物質
指定基準 リスクアセスメント義務対象で、国の有害性分類において「発がん性区分1(1A・1B)」に該当。
SDS上で該当区分を明確に表示し、危険有害性情報を提供。
動物実験で発がん性が確認され、人に対する可能性を否定できない物質。
SDSでは予防的観点から「発がん性のおそれあり」と記載。
対象例 メルファラン、アントラセン、メタクリル酸2,3-エポキシプロピル など アクリル酸メチル、スチレン、トリクロロエチレン など

企業に求められる対応の違い(SDS運用・リスク管理)

がん原性物質

  • 作業記録の保存義務:取り扱い労働者の作業履歴を30年間保存。
  • SDS対応:「長期ばく露による健康影響」「記録保管義務」「管理手順」などをSDSへ明確に記載。
  • 対象は労働安全衛生規則の告示で指定された物質。

がん原性指針対象物質(予防的指針)

  • 予防的措置の実施(SDSに基づく管理)
  • 作業環境管理(局所排気装置・密閉化)
  • 作業管理(保護具着用・作業位置の最適化)
  • 環境測定(6か月に1回の濃度測定)
  • 衛生教育(4.5時間以上の教育義務)
  • 健康記録の作成・30年間保管
  • SDS活用:リスクアセスメントや労働者教育でSDSを基礎資料として利用。

結論(SDSとの関係性まとめ)

がん原性物質は、法令に基づく明確な義務対象であり、リスクアセスメントや作業履歴の保存など厳格な対応が必要です。
一方、がん原性指針対象物質 は、発がん性の可能性に基づく予防的管理が求められ、SDS情報を活用した教育・環境改善が中心となります。

いずれの場合も、SDSは化学物質リスクを伝えるための最重要情報源です。最新の分類・告示内容に基づき、正確かつ透明な情報提供を行うことが企業の責務です。


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