GHSによる化学品の危険有害性の分類基準
2025.06.05
GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)は、
化学品の危険有害性を国際的に統一した方法で分類し、ラベルや安全データシート(SDS)に明示する枠組みです。
これは化学品の取扱いにおける安全性を向上させ、事故や健康被害を防ぐ目的で設けられています。
GHS分類は、物理化学的危険性、健康に対する有害性、および環境に対する有害性の3つの主要なカテゴリに分かれています。
- 物理化学的危険性
物理的な特性に基づく危険性を評価し、以下のクラスに分類されます。
- 爆発物
- 可燃性ガス(自然発火性ガス、化学的不安定なガスを含む)
- エアゾール
- 酸化性ガス
- 高圧ガス
- 引火性液体
- 可燃性固体
- 自己反応性化学品
- 自然発火性液体
- 自然発火性固体
- 自己発熱性化学品
- 水反応可燃性化学品
- 酸化性液体
- 酸化性固体
- 有機過酸化物
- 金属腐食性化学品
- 鈍性化爆発物
- 健康に対する有害性
化学品が人体に及ぼす影響を評価するもので、以下のクラスが含まれます。
- 急性毒性(経口、経皮、吸入)
- 皮膚腐食性/刺激性
- 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性
- 呼吸器感作性又は皮膚感作性
- 生殖細胞変異原性
- 発がん性
- 生殖毒性
- 特定標的臓器毒性(単回ばく露)
- 特定標的臓器毒性(反復ばく露)
- 誤えん有害性
- 環境に対する有害性
化学品が環境に及ぼす影響を評価するもので、以下の2つのクラスがあります。
- 水生環境有害性
- オゾン層への有害性
■ GHS分類の例(急性毒性:経口)
以下は、急性毒性(経口)に関するGHS分類の例です。
区分 |
ATE(Acute Toxicity Estimates) |
注意喚起語 |
危険有害性情報 |
区分1 |
ATE ≦ 5 [mg/kg体重] |
危険 |
飲みこむと生命に危険(H300) |
区分2 |
5 [mg/kg体重]< ATE ≦ 50 [mg/kg体重] |
危険 |
飲みこむと生命に危険(H300) |
区分3 |
50 [mg/kg体重]< ATE ≦ 300 [mg/kg体重] |
危険 |
飲みこむと有毒(H301) |
区分4 |
300 [mg/kg体重]< ATE ≦ 2000 [mg/kg体重] |
警告 |
飲みこむと有害(H302) |
※ATE(Acute Toxicity Estimates)は、急性毒性値または急性毒性推定値の両方を指します。
まとめ
GHSは、化学品の危険有害性を正確かつ統一的に伝えるための基準であり、以下の3つの主要なカテゴリに基づいて分類されます。
これらの分類により、化学品の安全な取扱いや適切な管理が可能になります。
- 物理化学的危険性 - 爆発や引火のリスクを評価
- 健康に対する有害性 - 人体への影響(毒性、発がん性など)
- 環境に対する有害性 - 水生生物やオゾン層への影響
※SDS(MSDS)のサンプル(見本)はこちら
参考文献
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/131003-01-all.pdf