2025年JIS改正、あなたのビジネスは大丈夫?
SDS見直しの全貌と今すぐ始めるべき対策
2025年に施行されるJIS Z 7252およびJIS Z
7253の改正により、日本国内で化学品を取り扱うほぼ全ての事業者が、製品のSDS(安全データシート)の見直しを迫られます。これは単なる書式変更ではなく、危険有害性の分類基準から表示ルールまで、根本的な再設計を意味します。
本記事では、3つの重要文書から要点を抽出し、今回のJIS改正がビジネスに与える影響、具体的な変更点、そして今から準備できる効率的な対策までを、WEBページとして分かりやすく解説します。
なぜ今、JIS改正が重要なのか?
JIS(日本産業規格)は、製品の品質や安全性を保証するための国家規格です。
特に化学品分野では、その危険有害性を正しく伝え、安全な取り扱いを促すために不可欠な役割を担っています。
JIS規格とは何か?
JISとは、日本国内で使われる工業製品やサービスについて、品質、性能、安全性、表示や説明方法などを統一的に定めた国家規格です。
JISがあることで、以下のようなメリットが生まれています。
- メーカーごとの基準のばらつきを防げる
- 利用者が安心して製品を使える
- 取引や流通がスムーズになる
参考ブログ:日本産業規格(JIS)の概要 ― SDS(安全データシート)とGHS対応の基準|GHS Assistant
参考ブログ:GHSとSDSの関係をわかりやすく解説|JIS Z 7253に基づくSDS記載項目とは|GHS Assistant
化学品分野でJISが特に重要な理由
化学品は、正しく使えば非常に便利な一方で、爆発や火災、人体への健康被害、環境への影響といったリスクも伴います。
そのため化学品分野では、どのような危険性があるのか、それをどのように伝えるのかを明確にルール化することが不可欠です。
この役割を担っているのが、以下の2つの規格です。
- JIS Z 7252(危険有害性の分類)
- JIS Z 7253(ラベル・SDSの作成)
なぜJISは改正されるのか?
JISは一度決めたら終わり、というものではありません。次のような理由から、定期的に改正されています。
国際ルール(GHS)の
更新に対応するため
化学品の分類や表示には、国連が定めるGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)があります。
このGHSは、科学的知見の進展に合わせて継続的に更新されています。日本のJISもGHSを基に作られているため、国際基準が変われば、JISも見直す必要があるのです。
現場での「分かりにくさ」を改善するため
実務の現場では、以下のような課題が指摘されてきました。
- 分類の考え方が難しい
- SDSやラベルの書き方に迷う
- 過剰表示・不足表示が起きる
改正では、こうした実務上の使いにくさを改善し、安全性を高めることも重要な目的です。
新しい製品・技術に
対応するため
製品形態の多様化により、従来の枠組みでは適切に分類できないケースも増えています。
これも今回の改正の大きな背景です。
今回のJIS改正(2025年)の全体像
今回のJIS Z 7252/7253の改正は、単なる文言修正ではなく、以下の点に踏み込んだ構造的な見直しが行われています。
- 危険性評価の考え方そのもの
- 表示・SDSの優先順位や判断ルール
特に影響が大きいのは、以下の方向性です。
「分類はより科学的・実態重視に」「表示やSDSはより分かりやすく、迷いにくく」
要点比較JIS(2019)と改正JIS(2025)の主な変更点
今回の改正で特に影響が大きいポイントを、比較表にまとめました。自社の製品がどの変更に該当する可能性があるか、ご確認ください。
| 項目 | 改正前(2019) | 改正JIS(2025) | 主な変更ポイントと影響 |
|---|---|---|---|
| GHS分類体系 | GHS改訂6版ベース | GHS改訂9版ベースへ移行 | 国際基準への整合性が高まるが、分類の見直しが必要 |
| 爆発物 | 危険物輸送基準(等級1.1~1.6) |
使用リスクを考慮した4区分 (1, 2A, 2B, 2C) |
輸送時だけでなく、使用・保管時の危険性評価がより重要に |
| 可燃性ガス | 一括分類(区分1) | 2区分に細分化(1A, 1B) | 危険度に応じた適切な表示と管理が可能に |
| 新規区分 | 該当なし | 「加圧下化学品」を新設 | これまで分類対象外だった製品のSDS作成・表示が必須に |
| 皮膚腐食/刺激性 | 手順が不明確 | 非動物試験(代替法)を正式導入 | 動物試験への依存を減らし、評価の選択肢が広がる |
| 注意書き(Pコード) | 優先順位が不明確で数が多い | 優先順位を明確化し、文言を整理・統廃合 | SDSやラベル作成時の判断が容易になり、記載のブレが減少 |
| SDSの濃度基準 | 誤えん有害性(区分1)= 10%以上 | 1.0%以上に強化 | SDS作成の対象となる混合物の範囲が拡大 |
詳細解説JIS改正の具体的な内容
さらに深く理解するために、主要な改正項目を個別に見ていきましょう。
危険有害性分類(JIS Z 7252)の見直し
爆発物分類:輸送基準から「使用リスク評価」へ
改正の背景
改正前は、爆発物の分類に危険物輸送規則(UN分類)をそのまま使用していました。
しかし輸送基準は、梱包状態や移動中のリスクを前提とした評価であり、使用・加工・保管時の危険性を十分に反映していないという課題がありました。
改正JIS(2025)の具体的内容
改正前の等級1.1~1.6という分類が、以下の4区分に再構成されます。
- 区分1
- 区分2A
- 区分2B
- 区分2C
この分類は、爆発の規模、反応の伝播性、使用環境での危険度などを総合的に評価する仕組みになっています。
実務への影響
- 危険物輸送区分とは必ずしも一致しなくなる
- SDS・ラベル上の危険度表示が変わる可能性
- 使用現場でのリスク説明がしやすくなる
可燃性ガス分類:「すべて同じ危険」からの脱却
改正の背景
改正前は、可燃性ガスは一律「区分1」とされていました。
しかし実際には、非常に燃えやすいガスと着火しにくいが可燃性を持つガスが混在しています。
改正JIS(2025)の具体的内容
可燃性ガスが以下の2つに細分化されます。
- 区分1A:高い可燃性・爆発性を持つガス
- 区分1B:可燃性はあるが相対的に低いガス
燃焼範囲や燃焼速度など、より詳細な指標が考慮されます。
実務への影響
- 過剰な危険表示を避けられる
- リスクに応じた管理・教育が可能
- SDS・ラベルの区分見直しが必要になる場合あり
「加圧下化学品」の新設:分類の空白を埋める
改正の背景
現場では、エアゾールではなく、高圧ガスにも該当しないという中間的な加圧製品が増えていました。
改正JIS(2025)の具体的内容
これらを新たに「加圧下化学品」として分類します。容器破裂リスクと加圧状態での危険性を評価対象とします。
実務への影響
- 新たに分類・表示が必要な製品が出てくる
- 容器表示やSDS記載内容の見直しが必要
皮膚腐食/刺激性分類手順の明確化
改正の背景
動物試験への依存は、倫理的課題とコスト・時間の問題が指摘されてきました。
改正JIS(2025)の具体的内容
以下のOECD代替試験法を正式導入します。
- TG430
- TG431
- TG435 など
分類判断のフローが明確化されます。
実務への影響
- 既存データの活用幅が拡大
- 新規試験設計の自由度向上
SDS・ラベル作成(JIS Z 7253)の再設計
危険有害性情報・Pコードの再設計
改正の背景
改正前は、以下のような声が多くありました。
- Pコードが多すぎる
- 優先順位が分からない
改正JIS(2025)の具体的内容
以下の改善が行われます。
- 文言の整理・統廃合
- 明確な優先順位ルールを明文化
例えば、P316 → P317 → P319の順で適用するといった具体的なルールが示されます。
実務への影響
- ラベル表記の判断が容易に
- 記載漏れ・過剰記載の防止
SDS(付属書D)の詳細変更点
小項目名の柔軟化
- 原則は表D.1に一致
- 利用者の誤解を招かなければ変更可
記載基準の強化
- 誤えん有害性(区分1):1.0%以上
法令情報の表現統一
- 「対象物質の名称(法令名称)」へ明確化
SDS構造の見直しによる影響
- 項目1:緊急時対応の実効性向上
- 項目3:混合物の透明性向上
- 項目15:法令誤解リスクの低減
全体を通した改正の本質
今回の改正は、「正しく分類し、正しく伝える」ための再設計と言えます。単なる規制強化ではなく、以下を目指した改正です。
- 危険度に応じた適正表示
- 読み手に伝わるSDS
- 実務で迷わないルール
改正JIS対応の課題と、今すぐ始めるべき対策
改正JIS対応でよくある課題
改正JISへの対応を検討する中で、多くの企業が次のような課題を抱えています。
- 既存SDSがどのJIS版で作成されたものか把握できていない
- 新JISに合わせて、どこを修正すべきか判断が難しい
- SDSを1件ずつ手作業で見直すのは現実的ではない
- 社外にデータを預けることに、セキュリティ上の不安がある
こうした状況では、「対応しなければならないと分かっていても、手が付けられない」という状態に陥りがちです。
改正JIS対応の必要性と現実的な課題
JIS Z 7252/JIS Z
7253の改正により、今後、日本向けに提供されているほぼすべてのSDSについて見直しが必要になると考えられます。
改正後すぐにすべてのSDSを修正しなければならないわけではなく、猶予期間が5年設けられています。
しかし一方で、以下のような理由から、計画的かつ着実な対応が不可欠となります。
- 対象となるSDSの数が多い
- 分類ロジックや記載ルールが大きく変わる
- 後回しにすると一時期に作業が集中する
(猶予期間5年あるが)ほぼ全てのSDSを見直す必要があり、着実に対応することが必要
GHS対応SDS作成支援システム「GHS Assistant」による改正JIS対応
こうした課題に対し、当社ではGHS Assistantを活用した改正JIS対応をご提案しています。
安心・安全なオンプレミス型
GHS Assistantはオンプレミス型のシステムです。SDSデータや物質情報を社外クラウドに預けることなく、自社環境内で安全に管理・運用できます。
以下のような企業にも安心してご利用いただけます。
- 機密情報を外部に出したくない
- セキュリティポリシーが厳しい
- 長期的に自社でSDSを管理したい
新JIS(2025年改正)にも順次対応予定
GHS Assistantは、2026年2月下旬を目途に、改正JIS Z 7252/Z
7253への対応を予定しています。
これにより、以下が可能になります。
- 新しいGHS分類体系を前提とした分類作業
- 改訂されたSDS・ラベル記載ルールに基づくSDS作成・見直し
猶予期間がある「今」だからこそ、準備を始める
改正JIS対応は、「直前になって一気に修正する」よりも、
早めに環境を整え、段階的に対応する方が負担は大きく下がります。
GHS
Assistantのトライアルでは、以下を事前に確認することができます。
- 実際の操作感
- 自社SDSへの適用イメージ
- 改正JIS対応に向けた活用方法
改正JISへの対応をご検討中の方は、ぜひこの機会にGHS Assistantのトライアルをご活用ください。
無料トライアルのご依頼
改正JISに対応する為に、
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